ストリーマ研究所 空気のマメ知識 エアコンの寿命は何年?
買い替えの目安や長持ちさせるコツを紹介

「エアコンの寿命は何年くらいなのだろう」「自宅にあるエアコンが壊れたとき、修理すべきか買い替えるべきかわからない」とお困りではありませんか?

エアコンの平均的な寿命は10年ほどといわれています。しかし実際にはそれ以上長持ちする場合も、10年以内で故障してしまう場合もあります。

今回は、エアコンの寿命や買い替え時のサインについて解説します。またエアコンを長く使うコツも紹介していますので、ぜひご一読ください。

エアコンの寿命は10年ほど

先述のように、エアコンの寿命は10年ほどといわれていますが、実際家庭ではどのぐらいの使用されているのでしょうか。

内閣府が行なっている「消費動向調査(令和2年3月調査)※」によると、2人以上の世帯でのルームエアコン平均使用年数は13.7年です。そのうち、68.1%は故障が原因で買い替えています。また、単身世帯の平均使用年数は15.1年。そのうち71.7%が故障を原因に買い替えています。

参考:令和2年消費者動向調査(主要耐久消費財の買い替え状況)

上記のデータによる平均使用年数は約14年であるのに対して、「エアコンの寿命は10年ほど」といわれているのはなぜなのでしょう。その理由は、「設計上の標準使用期間」と「部品の最低保有期間」にあります。

設計上の標準使用期間とは、「運転時間・温度・湿度など、標準的な使用条件に基づく経年劣化に対して、エアコンが製造された年から安全上支障なく使用することができる標準的な期間」を指します。これはエアコンのメーカーごとに設定されていますが、10年としているところが多い傾向です。この期間を過ぎると、経年劣化によって発火やケガの恐れがあるとされています。

なお、設計上の標準使用期間は、エアコン下部などに貼られているシールで確認できます。

また、エアコンの部品はメーカーごとに最低保有期間を定めています。こちらも製造打ち切り後10年と決まっている場合が多く、この期間を過ぎてしまうと、もしエアコンが壊れても修理できない可能性が高くなります。

「設計上の標準使用期間」と「部品の最低保有期間」のどちらも10年前後であることから、エアコンの寿命も10年ほどといわれているのです。

エアコンは修理と買い替えどちらが良い?

エアコンの調子が悪くなってしまった場合、修理か買い替えかを検討することになるでしょう。

本体の保証期間は1年、圧縮機や熱交換器などは5年であることがほとんどですが、保証期間内であれば修理を依頼すると思います。保証期間を過ぎている場合は、修理にかかる費用と買い替え費用を比較して決めることになります。

ただし、使用上の誤りによって故障や損傷が生じたりした場合などは、保証期間内であっても有料になることがあるため、注意が必要です。

最近のエアコンは省エネ技術も進歩しており、電気代も安いエアコンがほとんどです。

例えば、ダイキン工業のルームエアコン「RXシリーズ」10畳程度に対応しているモデルを比較すると、以下のような結果となりました。

ダイキン工業 ルームエアコン「RXシリーズ」10畳程度
カタログの発行年 消費電力量
期間合計(年間)
1年間にかかる電気代
(1kWhあたり27円の場合
2010年828kWh22,356円
2020年779kWh21,033円
参考:
2010年発行分 住宅設備用カタログ
2020年発行分 住宅設備用カタログ

同じシリーズのエアコンでも、1年間にかかる電気代の差は1,323円になります。さらに、畳数が大きくなればなるほど電気代の差も開いていきます。

エアコンに不具合が出た場合は、買い替えという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

エアコンの買い替え時のサインとは?

エアコンの寿命は10年といわれているものの、場合によっては10年以内に故障することもあります。「エアコンを頻繁に使う時期なのに、急に壊れてしまった……」とならないためにも、買い替えの目安となる4つのサインを覚えておきましょう。

異音がする

エアコンからの異音にはその種類によって各々原因があります。例えば、「キュルキュル」という音の場合、室内ファンモーターのベアリングの寿命が近いことが考えられます。

「キュルキュル」音は汚れやほこりがフィルターに目詰まりした場合にも起こります。そのため、音に気づいたときにはまず掃除を行ないましょう。掃除をしてもなお音が鳴りやまない場合は、寿命が近いことが考えられます。

室外機からも同じように「キュルキュル」音が聞こえてくる場合があり、この場合は室外機のファンモーターが故障している可能性があります。

そのほかにも「ガゴンガゴン」という音はエアコン内部で何らかの破損、「ガラガラ」という音はプロペラやコンプレッサーの異常が起こっているとみられます。

いずれもいつもと違う音が大きくなってきた場合、何らかの故障が考えられますので、保証期間以上に使用されている場合は、買い替えの検討をおすすめします。

冷暖房の効果が悪くなった

「冷房・暖房の効きが悪い」などの場合は、冷媒ガスが漏れている、または少なくなっていることが多く、修理が必要になりますが、相場では2万~3万円ほどかかります。購入してから年数が経っているのなら、買い替えを検討するのもいいでしょう。

そのほか、フィルターの目詰まりやエアコン内部の汚れが原因であることもあります。ほこりや汚れがあることで本来の機能を発揮できず、冷風や温風を十分に放出できていないのかもしれません。フィルターを掃除することはもちろん、汚れがひどい場合は業者へエアコンクリーニングを依頼してみてください。

エアコンから水が漏れてくる

エアコン本体から水が漏れてくるのは、フィルターやエアコン内部を掃除せずに放置していることが原因であることが多いです。ほこりなどが溜まると結露した水の排出を妨げる為、水漏れにつながっているのです。

エアコンを設置している壁を伝って水が漏れている場合は、結露した水を排出するためのドレンホースが詰まっている、または折れ曲がっている可能性があります。

また、内部の熱交換器に汚れがひどい場合は結露が付きやすくなり、吹き出し口から水が飛ぶこともあります。

業者にエアコンクリーニングをしてもらっても改善しなければ、熱交換器の修理が必要になります。その費用を考えるとエアコン本体を買い替えた方が良いかもしれません。

電気代が高くなった

以前よりも電気代が高くなったと感じる場合は、フィルターの目詰まりやエアコン内部の汚れが原因かもしれません。この状態で運転すると運転効率が悪くなり、結果電気代が高くなってしまうのです。

この場合は、フィルターやエアコン内部を掃除することで改善する可能性がありますのでまずはお掃除してください。

お掃除しても電気代があまり変わらない場合は、エアコンの寿命を示すサインかもしれません。最近のエアコンは省エネ性能が高いため、これを機に買い替えも検討してみましょう。

エアコンを長く使うためのコツ

エアコンを長く使う基本中の基本は、フィルターをこまめに掃除してエアコンに負担をかけないことです。

前項で触れてきた通り、フィルターの目詰まりやエアコン内部の汚れはさまざまなトラブルにつながります。放置しておくと、エアコンへの負担はどんどん大きくなり、寿命を縮める原因となります。

エアコンの性能を長期的に維持し、長く使うためには、以下の部分をきちんと掃除しましょう。

フィルター

エアコンのフィルターは2週間に1回を目安に掃除してください。

掃除機でほこりを吸い取るだけでも十分ですが、汚れがひどい場合は中性洗剤を使って水洗いしましょう。エアコンを使う機会が多い夏場・冬場は特にこまめに掃除するのがおすすめです。

室内機

室内機の内部にはフィルターのほかにも熱交換器やファンなど、エアコンの運転効率に関わる部品が多く集まっています。そのため、室内機内部の掃除は、運転効率を良くするためにも必須となります。

しかし、エアコンの内部はフィルターと違って簡単には掃除できません。時間も手間もかかり、専門的な知識がないとエアコンを故障させる恐れもあります。そのためエアコン内部は1~2年に1回、業者にエアコンクリーニングを依頼するのがおすすめです。

室外機

室外機は、1年に1~2回は掃除した方が良いでしょう。濡れた雑巾で外側を拭いたり、アルミフィンを歯ブラシなどでこすってみたりしてください。室外機内部を無理に清掃すると故障につながる恐れがあるため、できる範囲で汚れやゴミを落としてください。

空気の通りが良くなるよう室外機周辺のゴミや砂ぼこりを除去することも大切です。室外機周りにゴミがあると熱の排出がうまくいかず、負担をかけることになります。

まとめ

設計上の標準使用期間や部品の最低保有期間が10年前後であることから、エアコンの寿命は10年ほどといわれています。エアコンに不具合が起きたとき、買い替えるかどうかは、購入してから10年が経過しているかを目安にしましょう。

こまめに掃除していてもエアコンの不具合が頻繁に発生する場合は、寿命のサインです。最近のエアコンは省エネ性能が高いため、買い替えることで電気代が安くなるというメリットもありますので、これを機に買い替えを検討してください。

繰り返しになりますが、エアコンの寿命を延ばすのは、こまめな掃除です。お掃除機能付きのエアコンであってもその機能に頼り過ぎず、定期的なメンテナンスを心掛けるようにしましょう。