ストリーマ研究所 空気のマメ知識
意外と知らないエアコンの室外機の役割と、
よりよく使うための3つのポイント
エアコンは室外機と室内機が各々その役割をきちんと果たすことによって、室温を快適に調整しています。しかし、日頃目に付きやすい場所にある室内機と違い、屋外に置かれている室外機について、役割をよく理解していない方も多いでしょう。
実は、室内機以上に室外機はエアコンの性能を維持するために大切なものです。室外機の設置されている状況によっては、冷暖房の効きが悪くなったり、エアコンの運転が止まってしまったりすることがあります。
そこで今回は、エアコンの室外機が果たす役割と、メンテナンスについて解説し、室外機をよりよく運転させる為のポイントを説明していきます。
エアコンの仕組みと室外機の役割
エアコンは室内機と室外機から成り、その2つを繋ぐ配管には冷媒と呼ばれるガスが入っています。この冷媒は、室外機に搭載された圧縮機(コンプレッサー)によって圧縮され、配管内を循環して熱を運ぶ役割を担います。
冷房運転を行なう際には、室内の熱を室内機の熱交換器に取り込み、冷媒ガスによって屋外に放出します。一方、暖房運転を行なう際には、室外機と室外機の働きを逆にすることで、部屋に暖かい空気を送ります。
人間に例えると、冷媒は酸素や栄養分を運ぶ血液のようなものであり、圧縮機は血液を全身に巡らせる心臓のようなものであると言えます。つまり、圧縮機に不具合が起きるとエアコンが機能しなくなってしまうのです。
圧縮機を搭載する室外機のパフォーマンスを向上させたり、寿命を延ばしたりするメンテナンスや環境づくりについては、次章以降で詳しく紹介します。
エアコンの室外機のメンテナンスは必要?
屋外にあるため汚れることが多いエアコンの室外機ですが、メンテナンスはどうすれば良いのでしょうか。
実は、エアコンの室外機は、基本的にメンテナンスしなくても大丈夫なように作られています。
メンテナンスは不要であるものの、きちんと動作する環境を作ることは必要です。室外機周りの環境を整えて室外機の性能を効率よく発揮するポイントを次に説明します。
エアコンの効率に影響大!室外機をよりよく運転させるための3つのポイント
エアコンの性能と室外機の状態には、密接な関係があります。ここからは、室外機の性能を維持し、よりよく運転させるために大切な3つのポイントをご紹介していきます。
直射日光や雪を防ぐ
直射日光によって室外機や周囲の温度が高くなると、冷媒が室内機から運んできた熱を冷ましにくくなります。
日差しを遮るための覆いを設置するだけで、冷房運転の効率が良くなります。特に日光の影響は大きいので、できるだけ吹出し口を塞がない位置から影を作ると、日中の冷房効率が大きく改善されます。
前に物を置かない
室外機の吹出口や吸込口周辺には物を置かないようにしましょう。空気の循環がうまくできないと、熱交換器の放熱や蓄熱の効率が下がってしまいます。
夏場は空気の流れが良くなるように周囲の物の配置を工夫したり、ある程度離した位置に地面の反射や熱の上昇を抑える植物などを設置したりするのがおすすめです。室外機が吸い込む空気の温度が低いほど、冷房の効率は高くなります。
冬場も室外機周辺には物を置かないようにしましょう。空気の吹き出しや吸込口が塞がれると、冷媒を温める効率が下がってしまいます。暖房時、室外機は冷たくなった空気を排出しています。
そのため、吹出し口が塞がれていると、排出したばかりの冷たい空気を再度吸い込む「ショートサーキット」が発生し、屋外の熱を効率よく取り込めなくなるだけでなく、暖房が止まってしまうこともあります。
室外機周りに打ち水などをして周囲の温度を下げる
猛暑日など、屋外が暑い時期には、室外機に直接水をかけたり、周囲に打ち水をしたりすると、冷房効果が保ちやすくなります。室外機が室内の熱を放出しやすいように、室外機自体を冷却するだけでなく、取り込む周囲の空気を気化熱で冷やすことで、より冷房の効きが良くなります。
室外機に水をかける時は、背面のアルミフィンにかけるのがもっとも効果的ですが、設置の仕方や室外機の種類によってはかけにくい場合があります。その場合は天板に適量かけるだけでも効果的です。
室外機は屋外で使用するように設計されているので、水濡れで簡単に故障することはありませんが、ホースなどで水圧をかけて内部に水を入れると故障の原因になるので注意してください。
室外機まわりの環境を整えてエアコンの性能を高く維持しよう
エアコンは室内機と室外機が各々その役割をきちんと果たすことによって室温を調整しています。室外機は屋外にあるため、つい忘れがちな存在ですが、日頃から周りに物を置かないように意識したり、夏場は日陰を作ったりすることで、エアコンのパフォーマンスを高く維持できます。
最近エアコンの調子が悪いかもしれないと思ったら、室外機の環境を確認してみてください。物置を置いてしまった、植木を密着させて隠すようにしてしまった場合、室外機がきちんと稼働できない環境になっている場合があります。
この記事を参考に室外機周りをチェックしてみてはいかがでしょうか。