ストリーマ研究所 空気のマメ知識 O157の感染力は他の菌の1万倍!?
食中毒予防のために知っておきたい3原則

急におなかが痛くなって、下痢や嘔吐を繰り返す食中毒。なかでも、O157をはじめとする細菌が原因の食中毒は、気温や湿度が高くなる夏場に多く発生します。O157は感染力と毒性が強く、重症化する場合もあるため、感染しないように、食中毒に関する正しい知識とその予防策についてご紹介します。

そもそも、食中毒の原因って何なの?

食中毒を引き起こす主な原因としては、「細菌」「ウイルス」「自然毒」「寄生虫」などが挙げられます。いずれも、これらを含んだ食べ物を摂取することで発症しますが、特に「細菌」の場合は、温度や湿度などの条件が揃うと食べ物の中で増殖するため、保存や調理する際に注意が必要です。

細菌による食中毒の主な原因としては、「病原性大腸菌O157」がよく知られていますが、ほとんどの大腸菌は、人や動物の大腸にいても害を与えることはありません。しかし、O157はベロ毒素という強い毒素を作りだすため、腹痛や出血性の下痢、嘔吐を引き起こすのです。乳幼児や高齢者が感染した場合、重症化して命を落とすこともある非常に危険な細菌のひとつです。

食中毒の主な原因の種類

O157の感染力には要注意!

O157は、毒素が強いこと以外に、その感染力の高さも大きな特徴です。一般的な食中毒は、「約100万個」の菌が侵入しないと発症しませんが、O157の場合は、「約100個」程度という少ない菌でも食中毒を発症します。そのため、家具などに付着したわずかな菌からも、二次感染を起こす可能性があります。

元々、O157は牛や豚などの家畜の腸の中に住んでいるため、食肉加工する際に菌が付着するケースや、牛や豚の糞尿によって飼育場周辺の土や水が汚染され、近くで作られている野菜などに菌が付着するケースなど、さまざまな感染経路が考えられますが、感染力の高さを考えれば、どこからでも感染する危険性があると言えます。さらに、感染してからの潜伏期間が2~9日と長いため、気づかないうちに感染を広めてしまう可能性もあります。

もしも、感染してしまったら・・・

O157に感染した時の症状としては、激しい腹痛と下痢、嘔吐、血便などがありますが、全く症状の出ない人から重篤な症状になる人まで様々です。また、発熱を伴うこともあり、初期の段階では風邪と間違えやすいので注意が必要です。少しでもO157による感染症が疑われる場合は、下痢止め薬を服用したりせず、すぐに医師の診察を受けましょう。

また、家庭内での二次感染を防ぐためにも、水洗トイレの取っ手やドアノブなど、菌で汚染されやすい場所はしっかり消毒するようにしましょう。調理前や食事前には、十分に手を洗い、アルコール消毒を行うのも有効な手段です。お風呂でも水を介して感染するため、感染者の後に入浴しないようにし、バスタオルの共用も避けましょう。

これだけは押さえよう! 食中毒予防の3原則

食中毒を予防するためには、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つの原則を実践することが大切です。

まず、「つけない」ために、調理前、生の肉や魚、卵などを扱う前後、トイレ後、鼻をかんだ後、オムツ交換をした後、動物に触れた後、食卓につく前、残った食品を扱う前などには、必ず手を洗いましょう。調理器具を使用する度に、きれいに洗ったり、消毒したりするのもひとつの方法です。

次に、「増やさない」ために、食べ物は低温で保存しましょう。多くの細菌は、高温多湿な環境では活発に増殖しますが、10℃以下では増殖がゆっくりになり、マイナス15℃以下では増殖が停止すると言われています。生鮮食品などは、購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れ、早めに食べるようにしましょう。

そして、最後に「やっつける」。ほとんどの細菌は、加熱処理によって死滅します。特に、肉料理は中心部分まで加熱することが重要です。目安としては、75℃で1分以上加熱すること。魚や野菜なども、加熱して食べれば安全です。これら3つの原則をしっかり押さえて、食中毒の発生を防ぎましょう。

POINT!

  • O157は、ごくわずかな菌でも感染し、体内で強い毒素を作りだす。
  • 食中毒が疑われる場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。
  • タオルの共用などは避け、手洗いやアルコール消毒をして二次感染を防ごう。
  • 「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則を守ろう。